保護責任者遺棄致死・傷罪の話し

誰も教えてくれない?介護という名の裏に隠された恐ろしい法律

誰も教えてくれない?介護という名の裏に隠された恐ろしい法律

冒頭から恐ろしい事を言いましょう。

「貴方は、知らなければ犯罪者になります」

喧嘩を売っているのかと思われるこの文言。
ですが、人間が生きる世界において恐ろしいと言っても差し支えの無い法律があります。

しかもそれは「介護」について関わる法律です。

介護限定はありませんが、知らないでは済まされない法律がこの介護において関わっているのです。

ピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、少しでもこの事実について皆様に知っておいて欲しいのでここにご紹介させていただきたく存じます。

突然その時はやってくる

誰も教えてくれない?介護という名の裏に隠された恐ろしい法律

冒頭からいきなり失礼しました。

ですが、今回の私がご紹介する知識は全ての方が知らなければいけない内容だと思っております。

早く教えろとせがまれそうですが、一旦私の紹介とこう思った経緯をお伝えしましょう。

現在私は、転職活動を終えて新しい職場に来たばかりです。

勤め先で覚える業務内容は多く、他の従業員の方もせかせかしている為に常に落ち着かない環境で、私自身の疲労もなかなか解消されない状況です。

私の性格上、あまりストイックな環境は好きでは無いので、

周りに置いていかれないようにする為に必死に立ち向かい、日々自身の事で精一杯でした。

そんな時、両親から1通のメールが。

「今度、実家に戻ってこない?」

私は一人暮らしで、長い間両親には会っておりませんでした。

「了解…」

内心ちょっと面倒だなと思いつつも、私はわざわざ休みの日に両親の家に行くことになりました。

そして実家に着いた時、私は自分の目を疑ってしまいました。

(あれっ、こんなにお父さんとお母さんって老いていたっけ?)

失礼ですが、本当にそう思ってしまったのです。

腰を曲げて歩いているし、髪も白髪が増え、老眼鏡まで掛けていたのですから。

実家に呼ばれた理由は最近会っていないからという理由で、
私に久々に会えた両親はとても喜んでおりました。

しかし私は、仕事で疲れている気持ちを隠しつつも、ある事を頭に浮かべていたのです。

(もしかして、「介護」が…必要…なのか…?)

私は、嫌な予感とこれからさらに自身に負担が掛かるのではないかという不安に駆られておりました。

親不孝な考え方で申し訳ないですが、正直嫌だなと思ったのです。

そして、この実家帰りをきっかけに介護について調べることになったのですが、
私は、今まで全く気にしていなかった恐ろしい法律を見つけてしまうのでした。

誰も教えてくれない法律

誰も教えてくれない?介護という名の裏に隠された恐ろしい法律

大変お待たせしました。勿体ぶりましたがその法律名をお伝えしましょう。

法律名は、「保護責任者遺棄致死罪」、「保護責任者遺棄致傷罪」です。

簡単に言うと、自身が家族の介護をするべきだと分かっていて、もしその家族がその介護を受けられなかったせいで亡くなってしまったり、大怪我をしてしまったりすると、その介護者自身が法律によって罰せられるということです。

分かっていると思いますが、罰せられるということは、自分が犯罪者になるということです。

(人を殺したわけでもない、物を盗んだわけでもない、人に暴力を振るったわけでもない、かと言って違法な取引や犯罪に加担したわけでもない…なのに…)

私は、はっきり言ってこの法律を見た時に、両親や社会に対して非常に憤りを感じました。お門違いであったとしても、「そんなこともっと早く教えてくれよ」と思ったのです。

でもどんなに憤りを感じたところで、事実は事実です。

だから冒頭に言いました。

貴方が生まれたという事は基本的に両親がいるはずです。
そして、その親の介護をせず放置をした結果死に至ったり、障害を負うことになったりした時には、「あなたが」犯罪者になるのです。

言葉にすると非常に感情的になる上に、落ち着いたとしても受け止めたくない事実でもあるような気がします。

次の項目では、この法律について基礎知識をお伝えしましょう。

冷たい法律?

誰も教えてくれない?介護という名の裏に隠された恐ろしい法律

先ずは、基礎知識です。改めてこの法律を整理しましょう。

●保護責任者遺棄致死罪
⇒介護などの扶助が必要な人物(老年者、幼年者、身体障害者、病人)に対して保護をしなかった、何もしなかった結果、相手が死亡してしまった場合の罪です。
⇒一応、その介護者の状況や経緯によっては刑が軽くなることもありますが、犯罪は犯罪です。
⇒例としては、大病だと分かっていて寝たきりの親(老人)を置いて、何日も外出して放置、食事を与えない、救護をしない事が例となります。
⇒こちら罰則は、3年以上20年以下の懲役です。

●保護責任者遺棄致傷罪
⇒援助や保護をする義務があったのに関わらず、その事に対し何も対策をしなかったことで相手が障害を負ってしまった場合がこれに当たります。
⇒こちらも上記と同様、保護義務を負った者の状況によって刑が軽くなることもありますが、場合によっては重くなることもあります。
⇒こちらの罰則は懲役3か月から15年となっています。

以上簡単に内容をお伝えしましたが、もう一度言いましょう。

知らなかったでは済まない話になります。

ここの法律に加え、誰が介護者(介護をする人)になるのか整理しましょう。

①要介護の人物の、「子供」、「孫」、「父母」、「祖父母」、「配偶者」、「兄弟姉妹」が介護者の対象です。

②介護者は、要介護者に対して、「生活の面倒を見る」、「経済的な支援をする」が
主な義務です。

③介護する側の生活や状況によっては扶助義務が発生しない場合もあります。ここでは、介護者自身の生活に支障がない範囲での介護でいいとされています(お金が本当に無いのに、金銭的な援助する必要ありません)
⇒しかし、その介護自体が強制となるか否かは、自己申告、自己判断ではなく家庭裁判所が判断することになっております。家庭裁判所では、その家庭の収支(収入、財産、借金、家族人数)を基に介護の必要性を判断し、誰が義務を負うかということも判断します。

以上のことから、介護義務に対しての準備や家族間での相談を早めにしておくことがとても大切になります。

勿論法律の内容もある程度把握した上で、どこまで自身が介護の義務を負う範囲を明確にしておくことで、自分自身の生活とのバランスを図ることが出来るでしょう。

最後に

誰も教えてくれない?介護という名の裏に隠された恐ろしい法律

以上ここまで、人間なら誰しもが本当は知らなくてはならない、介護にまつわる法律についてお伝えしました。

この度のご紹介は、感情的で辛辣かつトゲのある言い方になってしまったかもしれません。

それでも何度も言いますが、知らなかったでは済まないのです。

人を殺してはいけないというのは人生生きていれば分かるかもしれませんが、
先ほど紹介した遺棄罪の法律については、やはり自身で気付くしかありません。

少しでもこの記事を通して皆様に周知できれば幸いです。

diary.st著