毎日仕事や趣味、友達との関係に追われている最中にその出来事は突然やってきます。
(あれっ?お父さんこんなに歩くのゆっくりだっけ?)
時々他愛の無い話をする為に実家に戻る私でしたが、3か月に一度くらいなので前回との変わりように違和感を覚えます。
「もうそろそろ年だからねぇ…」
そんなドラマや漫画でしか聞いたことがないセリフを聞くと、
何故だか妙にその言葉が重く感じられ、現実感を帯びてきます。
(あぁ、そうか。もし本当に身体が動かなくなってしまったら誰かが介護しなきゃいけないのか…)
日常では考えもしなかった不安や思いが頭の中を一気に駆け巡ります。
そして実際に介護をしなくてはいけなくなったら、何をどうすればいいか分からないと思います。
今回は、私の実体験を元にどんな風に両親の介護というものが始まったのかをご紹介しましょう。
きっかけは違和感から
先程冒頭でもお伝えした通り、「介護」という言葉と意味を意識し始めたきっかけは、
父親が普段よりもゆっくり歩くようになったことです。
ゆっくりというよりは、本当によくあるおじいちゃんの歩き方と言いますか、
少し前のめりに歩いているような感じで、私が子供だった時の父親とは似ても似つかない雰囲気でした。
因みに私は、普段販売員のお仕事をしており、シフト制でしたので平日にも実家に行こうと思えば行くことが出来ます。
とは言え、1週間付きっきりで傍にいてあげることはさすがに出来ない為、
自身のスケジュールを把握した上で、両親の「病院関連の事」や「財産の把握」から始めることにしました。
念の為お伝えしますが、いきなり父親に「介護するよ」なんてことは勿論言いません。
先ずは、父親が席を外している時に母親に父親の状況に関して尋ね、情報収集をするといった感じです。
ここでの注意としては、介護が必要になったと判断した時に、いきなり介護をしようとしないことです。
両親の気持ちもありますし、介護というのは嫌な言い方をすれば両親をある程度縛り付けた環境に身を置いてもらうことになります。
費用も掛かりますし、協力者や施設の助けが必要となる場合もあります。
要するに様々な準備と段取りが必要なので、その段取りにおいて途中のステップを抜かしてトラブルが起きないように事を進めていかなくてはいけません。
★第一ステップ:先ずは、両親の状況を改めて観察しよう!
①かかりつけの病院の把握
②財産の把握
③どこまで介護が必要なのか?どんな行動に対して介護が必要なのか?
④両親の生活における希望とは?(本当は介護なんてまっぴらと思っているかもしれません)
要支援とは
さて、ここで一度「介護」における簡単な基礎知識と流れについてお伝えしましょう。
先ずは、用語です。
①「要介護度」
⇒これは、介護対象になる方がどれくらいの介護が必要となり、普段の生活においてどのようなレベルで生活が出来ているかを示す基準です。
基本的には、「要支援」と「要介護」という分類に別れ、要支援なら要支援1~2、要介護なら要介護1~5までの段階があります。
要支援においては、まだ介護対象者が自身の意思である程度の動きや行動は出来るが、一部家事や入浴などにおいて見守りや手助けが必要な状況です。
要介護では、立ち上がりや歩行においての不安があり、基本的に家事やトイレ、入浴において手助けが必要な状態です。
この分類の内、どのレベルに介護対象者が相当するかによって入れる施設や受けられるサービス、国の支援、必要な介護が決まってきます。
②「介護認定調査員」
⇒これは、先程説明した実際の要介護度を測ってくれる方に相当します。
自身で要介護度を測ることは出来ず、地域包括支援センターや市町村窓口に相談することで介護認定の調査が始まり、1次判定と2次判定を経て要介護度が決定となります。
なので、最初の介護の準備としての流れは以下のようになります。
- 両親の状況把握
- 両親との介護が必要かの相談
- 相談の結果必要と分かれば、地域包括支援センターか市町村窓口に相談
- 先ずは訪問調査という形で調査員がご自宅に訪問し、介護対象者の心身の状況や悩み、掛かりつけのお医者さんの診断結果などを調査します。(一般的に1時間程度掛かるそうです)
- 訪問調査の基づきコンピューターで一度判定を出し、1次判定を抜ければ、介護認定審査会の主治医意見書確認による2次判定行われ、その結果で要介護度が介護対象者へ通知されます。
以上長い文章となってしまいましたが、先ずはこの二つの用語を理解すると、最初にどうすればいいかという事が何となく分かってくると思います。
親孝行?
何となく最初はどんな事から始めて、どんな流れになるか理解出来たかもしれませんが、
実際には上手くいかない事もあるでしょう。
と言いますのも、そもそも本人が介護なんて要らないと言っている場合や、
突然の病気や事故ですぐ介護が必要になってしまった場合などケースは様々です。
そうなると、やはり自分自身がトラブルを予測した上で介護の知識を事前に調べておくことも必要になってくるのではないかと思われます。
それに、良いタイミングで介護サービスを受けられるようにしてあげられることで両親の希望も叶えやすくなると思いますので、親孝行としても是非そう出来るように配慮したいですね。
私の父親は幸いにも、自身で介護がそろそろ必要だと認識していたようでしたので相談がスムーズに進み、介護に掛かる費用やかかりつけの病院の把握が比較的簡単に出来ました。
そして一番重要だと思われる要素が、本人自身が介護を必要だと思ってくれるかという点です。もしそれが本人の希望では無いとすると、どうしても今後の生活状況の把握や訪問調査員との会話が難しい場合があります。
私の家族の場合は相談の結果、先ずは家族だけで協力し合えることはやって、
出来るだけ費用の負担を掛からないようにしようという話に落ち着きました。
両親も介護サービスには費用も掛かるし、その環境に合わせることには少し抵抗があったみたいで、お互い介護の勉強もしつつ生活を進めていこうという流れになりました。
「すまんな…」
昔仕事をバリバリしていた父親からそんな言葉を言われると、どこか寂しい感じがありましたが、それでも親孝行出来ていると思うと少し心が救われるような気がしました。
最後に
以上ここまで、私の実体験を元にどんな風に両親の介護というものが始まったのかをご紹介致しました。
介護をしなくてはいけない。
こう突然自分で思った時に今の時代はインターネット検索で調べると思いますが、
それでも中々知識が頭に入って来ない時もあると思います。
なので、もしよろしければご自身の両親の介護が必要になる前に、
一度介護の「流れ」については調べることをおすすめしたいと思います。
流れが分かると最初どうすればいいのか、何が必要なのか分かってきますので、
頭に知識も入りやすくなると思います。
是非、親孝行の為にも調べて下さい。
diary.st著